きんぎょばちの演奏前は
おおむね直前に楽譜が配布され(寸前とも言う)前日か当日に練習、
そして本番となることが多い。
ソリストがいるときには、特に練習の時間をとるはずだった。
しかし・・・・

メンバーの中でもっともわがままな一人がソリストの今回、
事前練習はなし、
ぶっつけ本番直前にケースに入った楽器を渡され、
「組み立てておいて」と一言。

クラリネットという楽器は「リード」という繊細な発音体にによって音が発声される。
何枚もあるリードから「これぞ」という一枚を、充分にしめらせて使用するのだが、
今回のソリストはどのリードを使うのか決めていなかった。

・・・で新郎新婦の入場・・・

クラリネットを吹いたことのある人なら、どんな状態か想像つくだろう。
一切音を出すことなくリードを選ぶ・・・・これを可能に出来るのは、
ぱん♪の怒りそうなことをすべて知っている仙人掌しかいなかった。
そう、怒られそうなリードを一枚づつ予選落ちさせ、残った一枚にすべてをかけた。

さて、
残された課題は良い状態まで、リードをしめった状態に保つことだった。
普通は口にくわえて湿らせるのだが、演奏者は高砂の席で幸せそうにしている。
リードを持って行ってくわえさせたんじゃ、親戚一同に質問攻めに合うだろう。
(いつも何か食べてるから大丈夫だったかもしれないが)

これは仙人掌が時間までくわえているしかない!!
と思った瞬間、目に飛び込んできた。
そう、乾杯用のシャンパングラス・・・
すでにシャンパンがそそがれている。

結局、
直前の一曲をメンバーの一人が花嫁の楽器を吹き込んで暖め、
シャンパン漬けのリードとマウスピースを花嫁に手渡し、いざ!!演奏開始・・・・
そう、この日、花嫁の音はひと味違う!!
<記:仙人掌>